JR中央線に架かる三鷹跨線橋(1929年架橋)、2023年12月から撤去開始【太宰治ゆかりの橋】

東京都三鷹市にある、「三鷹人道跨線橋」。JR東日本の中央線、三鷹駅と武蔵境駅の間に位置する。

1929年(昭和4年)に架橋されてから94年間 活躍し続けたが、2023年12月に解体工事が始まった。


全長93メートル、横幅は約3メートル。高さは5メートルほど。線路の下には中央線の線路と、三鷹車両センターへの引き込み用線路が広がる。

三鷹人道跨線橋は1929年(昭和4年)に、三鷹電車庫(現・三鷹車両センター)を作る際にあわせて架橋された。


柱には、摩耗して使えなくなった鉄道レールが使用されている。よく見ると、「1911」という製造年が刻印されているレールを見つけることもできた。


三鷹に住居を置いた文豪・太宰治もこの橋を愛したことで知られている。編集者や友人を連れて、よく散歩に来ていたそうだ。橋の下に設置されている案内パネルはかなり劣化が進んでいた。


橋が完成した1929年(昭和4年)とはあたりの様子はすっかり変わってしまった。辺り一面の桑畑はなくなり、住宅街になった。すぐ下の電車庫にはステンレス製の車両が並ぶ。


三鷹人道跨線橋は、100年弱の間 同じ場所で時代の変遷を見つめてきた。歴史に名を遺した文豪・太宰治、日本の運命を大きく変えた第二次世界大戦、高度経済成長で変わりゆく街。

1949年(昭和24年)には、橋のすぐ下の三鷹電車庫に保管されていた無人電車が突如動き出し、商店街に脱線転覆した死亡事件も発生した。

原因は未だ判明しておらず、「国鉄三大ミステリー事件」のひとつとして数えられている。


日本の重大な事象を数々見続けてきた歴史遺産・三鷹人道跨線橋だが、莫大な維持費や耐震強度の問題から、2023年に撤去工事が開始した。


参考資料:
https://www.city.mitaka.lg.jp/c_service/093/093254.html
https://www.tokyo-np.co.jp/article/130408
https://ktgis.net/kjmapw/kjmapw.html?lat=35.701956&lng=139.554966&zoom=17&dataset=tokyo50&age=2&screen=2&scr1tile=k_cj4&scr2tile=k_cj4&scr3tile=k_cj4&scr4tile=k_cj4&mapOpacity=10&overGSItile=no&altitudeOpacity=2
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ライター
山沢智知

報道写真を撮影しています。近代史、地域史、風景史。取材したことは、WEBメディア「惑星レコード」で記事にしています。稀に小説も書きます。日経「星新一賞」、北九州市立文学館「子どもノンフィクション文学賞」受賞。アイコンは拙著の短編アニメから巨大うさぎ。

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